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【ゲームの怪物と子供の狩人】08

夏巳が夏夜子と善宗のいるリビングへ行くと、テーブルに並べられた夜ご飯は、ご飯と言う名の冷やしうどんに野菜の天ぷらだった。

 

食事している間 善宗と夏夜子は夏巳の知らない「誰かの話」をおつまみを食べて酒を飲みながら楽しそうにずっと話していた。

 

ビクビク緊張しながら冷やしうどんを啜る夏巳には、二人が誰のことを話しているのやら想像すらつかなかった

 

けどその「誰かさん」は自分や母に会えるのをすごく楽しみにしていたと、それだけはわかった。

夏巳と夏夜子が食事を終えると、善宗は好きなだけこの邸宅で自由に暮らして良いと夏夜子に言い、夏巳の頭をわしゃわしゃ軽く撫でて、二人に「おやすみぃ〜 」と言って一人で僧侶達のいる宿坊へ歩いていった 。

 

「夏巳がずーっとビクビク緊張してるからお父さん、夏巳が自分に慣れてくれるまで、しばらく宿坊で寝るって」

善宗の後ろ姿を見ながら、夏夜子は少しガッカリした声で夏巳に言った。

「……ごめんなさい」

「もういいから、歯磨きして今日は早く寝なさい? 車の中に置いてある荷物はお父さん達が部屋まで運んでくれることになったから、明日は朝から一緒にこの町をいろいろ見て回りましょう?」

 

「……うん」

 

「きっと楽しいから」

しょぼくれる夏巳に夏夜子は優しくそう言うと、玄関のドアをそっと閉めた

 

 

 

バタン。

 

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夏巳は洗面脱衣室で歯磨きした後 リビングにいる夏夜子に「おやすみ 母さん」と言うと夏夜子も「なっちゃん おやすみなさい」と返し自分の部屋にとぼとぼと歩いていった。

 

夏巳の後ろ姿をしばらく見つめ、夏夜子は小さな溜め息をつくとテーブルの上のに置かれた、夜ご飯後の汚れた食器を一人で片付けはじめた。

夏巳は自分の部屋の前につくと、襖をそっと開けて電気の消えた真っ暗な部屋の中で

敷布団の隣に置かれた自分のリュックサックの中から、ゲーム機を取り出し片耳にイヤホン付けて布団の上で横になった。

ゲーム機の明るい画面をただボーっと見つめながら夏巳は一人考え込む。

──母さんがガッカリしたのはオレが爺ちゃんにした酷い態度だ。当たり前のことになり過ぎて忘れてたけど……オレの着ているこの服やもっている物、このゲームも全部、爺ちゃんがお金を送ってくれたから買えた物ばかりだからだ。

「明日の朝 爺ちゃんに会ったら謝らなくちゃ……謝ってそんで……ありがとうって、ちゃんと言わなくちゃ……」

ゲームのCGアニメーションが終わると夏巳はゲーム機を片手に持ったまま、気を失うように眠ってしまった。

チカチカと光るゲーム画面に映っていたのは、一つのステージをクリアすると見るこのが出来るヌルヌルと動くCGアニメーションで。

そのゲームの物語は、子供の狩人が紅の翼を持つ大きな怪物を見つけて、自分の仲間にするために必死に追いかけて、なんとか仲間にすることに成功するけど。

狩人は最後にその怪物に騙され裏切られ、何度も何度も酷い目に遭わされた上に、生きたまま食べられてしまうという残酷で悲しい一場面だった。

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